2004年02月28日

『負け犬の遠吠え』を読む前に

『負け犬の遠吠え』を読む前に  西園寺 負け犬 歌名

前回は、阿川佐和子さんの著書を読んでの感想を書き散ら
してみたが、「一人でいること」を考えるシリーズ(と勝手に
命名)の第2弾として、今日は「負け犬」を題材にしてみたい
と思う。

最近、この「負け犬」という言葉をよく目にする。
酒井順子さんの著書『負け犬の遠吠え』で言われるところの
「30代以上、未婚、子供なし」の女性の代名詞だというが、
まだ読んではいない。
「負け犬」の私は、さっそくこの本を買うことに決めたのだが、
敢えて読む前に、雑誌やネットでみつけた感想などからの
少ない知識を元に考えたことを書いてみようかと思い立った
のだ。
さて、私(負け犬)の感想が読後に変わるのか変わらないのか
・・・・・・。

どんなに美人で仕事ができても、定義に当てはまる女性は
負け犬で、むしろ「高学歴、高収入」で自立を意識する女性
ほど負け犬になりやすいのだそうだ。

30代以上、特に30代といえば、少女時代を「男女平等」になり
始めた社会で過ごしている方が多いのではないだろうか?
そして、今「負け犬」にカテゴライズされる女性の多くは、
そういった「男女平等」の社会を自分の腕っぷし(この場合、
学力であるが)だけでちゃんと勝ち進んできたのではないかと
思う。
この「腕っぷし」だけで勝ち残れていた社会=教育の場から、
いわゆる「社会」に出るときにも勝ち残った女性が「高学歴、
高収入」の負け犬王道グループに入るのではないかと私は考え
る。

私の場合、途中までは勝ち組だった。もちろん、「女としての」
勝ち組ではない。「腕っぷし」で勝ち進んでいた。
夢ばかり見ていた少女は、その夢が叶わないものだと知らされ
るまで現実を見ようとしなかった。悪いことに、それまでの
希望はほぼすべて現実となっていたし、少女はますます「腕っ
ぷし」を磨いて、夢に近づいているつもりにさえなっていた。
就職のとき、神様はほとんど初めて、少女の夢を叶えてくれな
かった。そして少女は「なるべく希望に沿う仕事を」「やりた
いことを仕事に」という基準で転職を重ね、「高学歴、(なの
に)低収入」になった。
私はこのとき、すでに「負け」を認めている。結婚も考えた。
でも、そんなときに結婚したい女からは男性は逃げる(と逃げ
られた理由を分析したのだが、真偽のほどは分からない)。
「勝ち犬」になるためのチャンスもあったのになれなかったの
は、女としての魅力がなかったからか、それとも負けの認め方
が甘かったからか。
まずい。酒井さんが指摘される「負け犬」女性よりも、まずい
かもしれない。

さあ、これから本屋へ行って『負け犬の遠吠え』をGETするぞぉ!
そして、特に「負け犬」から脱出する方法を、読みたいと思う。
果たして、そこに私のための答えはあるのか・・・・・・?

(了)

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負け犬の遠吠え

投稿者 西園寺 歌名 : 04:10 | コメント (0) | トラックバック

2004年02月26日

エッセイ  西園寺 歌名

最近、阿川佐和子さんのエッセイ本を拝読した。

わけあって1か月前から新幹線通勤をしているのだが、
そろそろ眠って過ごすのにも飽きたある朝、通勤時間に
読む本はないかと、ふと思ったのだ。
しかし、私は既にホームに立っていた。ここから近くの
本屋まで行こうとしたら、確実に乗り遅れる。
次の新幹線は30分後だ。
田舎の、しかも新幹線のためだけの駅なので、駅ビルなど
というものはない。

万事休す。
また眠るしかないのか・・・。いやいや。何か読みたいのよぉ。
いったんそう思ってしまうと止まらない。

「久しぶりに赤川次郎でも買うか?」と、KIOSKをのぞく。
グルグルまわる小さな書棚(?)に80冊程度の単行本が
並んでいる。
自己啓発系、推理小説系、マンガ。。。
その中の、厚さといい装丁の色合い(イラスト)といい、
控えめだけどちょっと気になる1冊が、かの阿川佐和子さんの
『いつもひとりで』だった。

「ちょっと痛いかなー」と、読後に落ち込む自分を想像して
迷ったが、そこへタイミングよく、「列車がホームに入ります」
とのアナウンス。自虐的な気持ちになりながらお金を払い、
すぐさま自由席待ちの列に並んだ。

32歳を過ぎても結婚もせず、予定もない。もう縁がないのも
厄年のせいにはできない自分の胸に、さぞやグサグサと
刺さるお言葉が並んでいるのだろうと覚悟してページを
繰ったのだが、品川駅に降り立ったときには、なんだか
すっきりしていた。

結婚願望が強く、いつかは自分にも相手が現れて結婚する
のだから、なんだかんだ言って仕事はそれまでのもの、と
考えておられたという。
ところが、いつまで経っても、その相手は現れない。割と
お若いころからお見合いもなさったらしい。
でも、現れない。何年も。

「いまでもひとり」ということを随所に書かれているのだが、
その状況をカラカラと笑い飛ばしておられるのが気持ちいい。
そこには自嘲の色は微塵もないのだ。
今も結婚を諦めるなんていうことはなく、でも、おひとりの
生活を満喫していらっしゃる感じがする。

ああ、そうなんだ。
肩の力を抜いて、周りの状況に焦らされることなく、自分と
相談しながら生きていればいいんだ。
もしかしたら、結婚しないかもしれない。でも、恋愛は出来る
かもしれない。いい仕事にめぐり合えるかもしれない。ひとりの
楽しさを、縛られることのない生活の豊かさを実感することが
出来るかもしれない。

「他の人と比べない」とはいっても、あんまり目標をひとつに
決めすぎて前だけを向いていても、失敗したときが怖いことは
私も就職活動で知った。数年引きずったもの。
だから、「絶対に結婚しなくちゃ」とか「ううん。(こうなったら)
私は仕事に生きる!」なんて決めなくてもいいんだ。

でも、「いつの間にか時間が過ぎて、おばさんになっちゃった」
というのだけは避けたい。
何か、「あのときはこれに夢中だった」「あれを学んだ」と、
小さなことでもいいから言えるような時間の過ごし方をしたい。

今の私はきっと、具体的な目標(目的)を持ってガチガチに
計画遂行に向かっていくときではないのだろう。
阿川さんは、そんなメッセージを伝えようとなさっていたのでは
ないかもしれないが、私の目を少し大きく開かせ、また勇気
付けてくれたことは間違いない。

しかし、KIOSK。あなどれぬ。
きっとあの場所でなければめぐり合えなかったろう。
あまりにもたくさんの本が並びすぎると、途中で目移りしすぎて
かえっていい本への道のりが遠くなってしまうものかもしれない。
(了)

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いつもひとりで 単行本


cover

いつもひとりで 文春文庫

投稿者 西園寺 歌名 : 23:12 | コメント (1) | トラックバック